二つの斜面集落を巡る南信州の春
中井侍と下栗の里
2007年3月18日(日)

この日は早く目が覚めれば、静岡県焼津市に行き、富士山と寿司の日帰り旅行をしようと考えていましたが、
7:30に目が覚め、素直に諦める。
第二の候補であった、南信州秘境巡りに進路を変更。それでも300キロ運転しました
まずは、定点観測。長野県は平谷村と売木村の境にある平谷峠。東の空を望みます。
ここから見る、残雪の南アルプスの近くまで車を走らせることになりました。

この平谷峠から見る残雪の南アルプスは僕の年中行事。
毎年、冬の晴れた日などに狙いを定めて眺望を愛でにいきます。
例えば2006年の眺望は、こちら→

大陸の高気圧が運ぶ乾燥した空気と真っ青な空。

空に表情は色々あるけれど、僕の一番好きな空が、
今の写真にあるような空。春や夏の青空と違う、この透明感。
大好きです。

そして、それを一番際立たせるのがアルプスの雪山。

好きな光景を追い求めて、もう何年もこの峠に足を運びます。
さて、今回のドライブの目的は斜面集落。
少し前、間近に見た中井侍(なかいさむらい)の光景が忘れられなくて、なんとしてでも、その斜面集落に降り立ちたいと、
写真を眺めたり、ネットで情報を仕入れたり。

佐久間ダムから北へ天竜川は飯田まで最も険しい渓谷地帯。
この秘境に魅せられた「冒険家」のHPなどが、多く存在します。知れば知るほど魅せられる秘密めいた場所。

慣れた道とはいえ、やはり国道418号線は悪路として名高い。
高度を下げるところまで下げ天竜川に達したときに、今度は川に沿って南に行くのですが、そこで見たものは、、

憧れの中井侍まで行けれるか危惧しましたが、なんとか、そこまでの道は通じていました。もともと対向車も少ない道なのに
愛知県へは断絶されているので、もう、全くの無人地帯です。

やっと見えてきました。長野県最南端のJRの駅もある中井侍。斜面集落です。
しかし、向こうへ行くのに、天竜川を越えなくてはなりません。
さらに南に車を走らせ、最寄の橋を利用するのですが、
声を大にして言いたいのは、この橋を利用しては
ダメ

平神橋は立派なのですが、それに釣られて進もうものなら恐怖体験を味わいます。
幅は2メートルと少し。落石はあり、ガードレールはなく、その向こうは谷底。故に、利用する人も少なく、さらに朽ち果てている。
恐ろしい道は色々と体験したけれど、第二位の恐怖。引くに引けず、どんどん朽ち果てていく様は、実に恐ろしい。
えっ?一番は何だって!? それは一般車が通行可能だった頃の北岳の麓、奈良田から広河原までの土砂降りでの恐怖。

あまりに恐ろしいときは写真を撮る余裕はありません。
あらん限りの恐怖のイメージを放出してください。

険しくて、人もほとんど見かけず、文明の音ときたら、何時間に一本の飯田線のみ。
それでも、長野県で最も南に位置し標高も低い温暖な地。春の訪れはどこよりも早く。
車を停めて斜面集落の探索です。
知識がないので、集落の道路も、先ほどと同じ劣悪な環境かと思いきや
狭くてヘアピンカーブの連続ですが、丈夫なつくりでした。
走行に全く問題はありません。

ただ時間をかけながら歩いて探索するのは、
健康にも良いし面白味にも尽きない。

きっと、来年、訪れても、この集落に何の変化も進歩もないのでしょうが
この場所も、年に一度は訪れる場所になりました。

こうして、僕のカレンダーには年中行事が増え続けていくのです。

長野県でも、もっとも早く咲く桜の一本でしょう。
斜面集落は、その桜の向こうにあります。
まずは、道の駅で買った素朴なみたらし団子で軽めの昼食。
中井侍集落のもっとも低い場所にJR飯田線の中井侍駅があります。あとは、ひたすら登り詰める。


ここ中井侍は天竜川から湧き上がる朝霧のおかげで良質の茶葉が生産できるとのこと。
急峻な斜面にあって茶という木々で営む。これが一年草の野菜や小麦などの畑なら土地は流されていることでしょう。


この日は天気が良くて、忘れえぬ一日となりました。
数ある日帰りドライブでも、最上位の満足度。

なんて開放感でしょう。
どんなに耳を済ませても、さわやかな風の流と鳥の鳴き声のみ。