朱の津島
2009年9/26
愛知県の西部。それは限りなく土地が低い。
陸というのは海の上という概念を、拡大解釈で無理やり付け加えたような土地。
そもそも堤防のどこか一つでも決壊すれば、たちまち海のそこになるゼロメートル地帯が
尾張の西部には雄大に広かる。
しかし、そこに人の歴史が浅いかといえば、それは浅はかな思い込み。
戦後の無機的な造成や区画整理とは相容れない
味わいのある道の広さに、その曲がり。
土地が限りなく低いといっても
昔らある集落は、周辺より50cmとかわずかに高い。
いわば集落は湿地に浮かぶ島のような存在で、
湿地はというと蓮根畑や水田に適している。
夏、稲が青々として空は広く、白鷺の鳴く朝。
ここ愛知の水郷地帯は、田舎といえば山村を思い浮かべがちな
多くの日本人にとって、いまひとつの懐かしい味わいを提供するのです。
そんな湿地に浮かぶ最大の島が津島の町になります。
水はけのよいわずかな高台に昔から存在する津島の町の、ひときわ高いところに
朱の社殿が悠々と広がる津島神社があるのです。
全国に広がる津島社の総社。津島神社。
格式の高さは社殿改築に天皇陛下から幣を直々に賜るほど。
津島神社を囲むように、古い町並みも未だ健在。
江戸時代から寸分変わらぬ配合で製造している揚げ菓子など
ぶらり歩きをしても楽しいものです。
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